今シーズンのB3リーグが開幕して、早一ヶ月が経とうとしています。お気に入りの選手やマスコットも増え、会場で写真撮影や動画撮影を行う機会も増えてきているかと思います。また、撮影された写真や動画などのコンテンツをSNSに投稿することもあるかと思います。
撮影された写真や動画などのコンテンツは、正しく利用する必要があります。そこで、周りに迷惑を掛けずに楽しむためにも、改めてコンテンツの利用ルールを確認しておきましょう!今回は、B3リーグだけでなく、上位のBリーグに関するルールについても記載していきたいと思います。
ちょっと難しい内容も含まれていますが、気軽にご笑納ください。
試合会場での写真・動画撮影 基本ガイド
まずは、公式試合の試合会場で、来場者自身が撮影する場合のルールについて説明します。
(他人が撮影した写真や動画の取扱いルールについては後述します。)
Bリーグにおける写真・動画撮影 基本ルール
Bリーグでは、撮影の範囲を「コート上」と「コート外」に分けて定義しています。
- コート上:開場~来場者が帰るまでの間にコート上やベンチを撮影したもの、場内ビジョンに投影および放映されたコート上の映像(試合の映像・ハイライトも含む)を撮影したもの
- コート外:コンコース・観客席など、コート上やベンチの映らないもの
要約すると、バスケの試合に関係するものの存在する範囲が「コート上」であり、バスケの試合に関わらず一般的に存在するものの存在する範囲が「コート外」と言ったところでしょうか。
コート上については、「写真撮影」と「15秒以内の動画撮影」が許可されています。また、コート外については、「写真撮影」および「任意の時間の動画撮影」が許可されています。そして、許可された撮影コンテンツ(写真および動画)については、SNSおよびインターネットへ投稿し公開することも許可されています。
また、以下の行為は、Bリーグで許諾されていません(例外除く)。つい動画の撮影に集中していると、撮影時間が15秒を超過してしまうおそれもあるので、注意しましょう。
- 他者の迷惑になるような撮影行為又は投稿
- 社会的評価を損なわせる目的での撮影および投稿
- 他者の肖像権を侵害する、又は侵害のおそれがある投稿
- なりすまし投稿
- 撮影・投稿を禁止している場合の撮影および投稿
- コート上における15秒を超過した動画の撮影および投稿
- 動画のライブ配信
- 営利目的での利用
- その他、許諾していること以外での利用、B.LEAGUE又はBクラブに対しての愛の無い撮影および投稿
細かい例外規定については、Bリーグホームページ「写真・動画の撮影および、SNSなどでの使用ガイドライン」を参照ください。
B3リーグにおける写真・動画撮影 基本ルール
B3リーグでは、ホームページにて以下の内容が告知されています。Bリーグで指摘されている内容の一部と同じですね。
・試合中の写真撮影および15秒以内の動画撮影は個人での利用を目的とした場合に限り可能です。
※フラッシュを使用した写真撮影、および周囲の観戦の妨げになる大きな機材(望遠レンズ、三脚など)を使用しての写真撮影はおやめください。
※個人での利用以外のメディア掲載や商用利用を目的とした写真撮影・動画撮影については、クラブおよびリーグの許可が必要です。
それ以外の詳細な内容はホームページに記載されていませんが、どのB3チームも今後B2以上に昇格する可能性があることを考えると、Bリーグの基本ルールを覚えておくのが良さそうです。
SNSで画像・動画を利用する際の注意点
ルールを守って撮影された画像・動画を、撮影者自身がSNSおよびインターネットへ投稿し公開することは、チームによっても許可されています。一方、素敵な画像・動画は、他の人に紹介したくなることもありますよね。ただし、第三者が他人の撮影した画像・動画などのコンテンツを利用する場合には注意が必要です。
ここでは、第三者が画像・動画コンテンツを利用する場合の注意点について説明します。
著作権に注意!画像・動画コンテンツ利用のルール
画像や写真だけでなく、イラストやロゴなどの利用をする場合には「著作権」に注意が必要です。ちょっとだけ専門的なことを言うと、画像や写真、イラストやロゴなどは、「著作物」と言われ、この著作物を創作した人(「著作者」と言います。)に、これらの著作物を独占的に利用できる権利である「著作権」が与えられます。独占的な利用には、これらをコピーしたり、インターネット上にアップしたりすることが含まれます。
言い換えると、原則として、著作権が与えられた人(「著作権者」と言います。)以外の人が勝手に著作物をコピーしたり、ネットにアップしたりしてはいけません。
著作権は、試合会場で観戦者が撮影した画像・動画だけでなく、BリーグのクラブがSNSやインターネット上にアップした画像・動画、イラスト、ロゴなどにも発生します。各クラブでは、著作権についての注意書きを告知することが一般的ですが、告知がなくても著作権は発生しているので、無断利用は行わないようにしましょう。
なお、TUBCは著作権についての注意書きをホームページ等に明示的に告知していませんが、本来であれば、このような告知がホームページに掲載されると思われます。
東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(以下、「TUBC」と言う)の公式サイト・公式SNS等に掲載された情報、画像、および、映像等(以下、「コンテンツ」と言う)の著作権は、株式会社東京ユナイテッドバスケットボールクラブに帰属します。(後略)
著作権は、何かの手続きをしなくても、著作物を創作した時点(例えば、画像・動画を撮影した時点、イラストを描いた時点、等)で、原則、その著作物を創作した人に対して自動的に発生します。そのため、第三者が勝手に自分の著作物を利用していたのを発見した場合には、その著作権に基づいて利用を差し止める(掲載を止めさせる、印刷物を廃棄させる、など)ことができます。
コンテンツを創作した人(画像・動画を撮影した人)に許諾を貰えれば、著作権違反にはならないので、そのコンテンツを利用したい人は、創作者に許諾を貰うことを意識しましょう。
著作権「私的利用」について
一方、著作権の発生したコンテンツでも、個人や身内、ごく親しい少人数の友人等の限られた範囲で利用する場合には、コンテンツをコピーすることが許されています。これを、「私的利用」と言います。例えば、自分の携帯の待ち受け用に画像をコピーしたり、家族で鑑賞するために動画をコピーしたりすることは、私的利用に該当します。逆に言うと、親しい間柄だとしても家族以外に広くコピーを配ったり、家族以外の不特定の人が見られるWeb上に動画をアップしたりする行為は、私的利用には該当しないということになります。
著作権「引用」について
撮影された動画そのものも「著作物」に該当するため、動画の一部を切り取ったものも「著作物」に該当します。そのため、そのような一部のコンテンツを勝手にコピーしたり、SNS等にアップロードしたりする行為も、原則として著作権違反になります。
例えば、バスケットライブの動画から一部のシーンを切り出す行為は、個人で楽しむ分には上記「私的利用」に該当し問題はないのですが、それを勝手にXやInstagramにアップロードする行為は、原則として著作権違反になります。
(バスケットライブ動画から一部のシーンを抽出してYouTubeにアップしているTUBCの公式動画は、バスケットライブに許諾を得ていると考えられます。)
なお、公表された著作物を公正な慣行に合致するように、正当な範囲内で出所を明示して引用する場合、適法な「引用」として著作権違反とはされない場合もあります。
ただし、「公正な慣行」や「正当な範囲内」の解釈は、状況によって一律ではないので、著作物を引用する場合は慎重に。
SNS上でシェアする行為について
ちょっと細かいお話(飛ばしてもらってもOKです♪)。
SNSでコンテンツをシェアすることは一般に行われていると思います。コンテンツをシェアする行為は、限られた範囲以外の第三者にコンテンツを配布する(コピー)する行為と言えることから、「私的利用」ということはできません。
では、なぜこのようなシェア行為が一般に行われているのでしょうか。
実は、各SNSでシェアに関するルールが定められており、そのルールに従ってシェアしているのであれば著作権違反にはならないよ、と言うことです。以下、各SNSについて具体的に見てみましょう。
X(旧twitter)
2024/10/30時点で、Xのサービス利用規約の「ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾」には、以下のように記載されています。
ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介して、自ら送信、投稿、または表示するあらゆるコンテンツに対する権利を留保するものとします。ユーザーのコンテンツはユーザーのものです。すなわち、ユーザーのコンテンツ(他のコンテンツに組み込まれたユーザーの音声、写真および動画もユーザーのコンテンツの一部と考えられます)の所有権はユーザーにあります。
サービス上でまたはサービスを通じてコンテンツを送信、ポスト、または表示することにより、お客様は、現在知られているまたは今後開発されるあらゆるメディアまたは配信方法で、あらゆる目的で、かかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、適応、変更、公開、送信、表示、アップロード、ダウンロード、および配信するための、世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与するものとします。
簡単に言うと、XユーザがXを介してコンテンツを投稿した場合、そのコンテンツの所有権そのものは投稿したXユーザが有する一方、そのXユーザは、X社および他のXユーザがその投稿を(Xの利用規約に従うことを前提に)利用することを許諾したことになる、ということです。なので、リポストや引用は、Xのサービスを利用したものであるため認められる、と言うことになります。
同様に、WEBサイトに埋め込み表示する場合も、原則として著作権違反にはなりません。そのため、本ブログでも、Xに投稿された画像や動画そのものをコピーして掲載するのではなく、埋め込み機能を利用して掲載するようにしています。
なお、リポストする元の投稿自体が著作権違反の場合、リポスト行為そのものも著作権違反となる可能性があるため注意が必要です。
YouTube
YouTubeの動画そのものをダウンロードしたりコピーしたりすることは禁止されています。一方、WEBサイトにYouTubeのコンテンツを埋め込む行為は、原則として著作権違反になりません。
2024/10/30時点で、YouTubeの利用規約の「他のユーザーへのライセンス付与」には、以下のように記載されています。
また、お客様は、本サービスを利用する他の各ユーザーに対して、本サービスを通じてコンテンツにアクセスし、(動画の再生や埋め込みなど)本サービスの機能によってのみ可能な方法で、複製、配信、派生的著作物の作成、展示、上演などのかたちでコンテンツを使用する世界的、非独占的な無償ライセンスを付与するものとします。明確にするために付記すると、このライセンスは、本サービスから独立した方法でコンテンツを使用する権利や権限を与えるものではありません。
Xと同様、YouTubeが提供する埋め込み機能を用いてWEBサイトに埋め込む行為は、YouTubeのサービスを利用したものであるため認められる、と言うことになります。
細かいお話をすると、Youtubeの動画を張り付けたサイトは、JASRACとの許諾手続が必要になるのですが、収入(広告収入を含む)を得ずに運営する個人サイトの場合は、そのまま利用できることになっています。なので、私のブログは収入を得ずに運営しているので、記事「TUBCの試合会場で流れる音楽リスト」でも、JASRACとの許諾手続をすることなくYouTubeの埋め込み動画を公開できることになります。
肖像権・パブリシティ権について
写真や動画に関する権利として、「肖像権」や「パブリシティ権」について聞いたことがある方もいらっしゃると思います。いずれの権利も、法律で明文化された権利ではありませんが、人格権に由来する権利です。
肖像権について
「肖像権」とは、承諾なしに、みだりにその容ぼう等を撮影されない権利とされています。つまり、肖像権は、他人に勝手に撮影されない権利です。TUBCのホームページにも、「観戦者の肖像権について」の記載があり、以下のように告知されています。
試合会場では、クラブスタッフ、関係者、報道関係者が広報または、商業的な目的で試合会場の風景を静止画ならびに動画で撮影し、各メディア媒体で使用しています。
試合会場に来られた観客の皆さまのお姿が、動画もしくは静止画に映りこむ可能性がございます。
なお、バスケの選手達は、Bリーグ規約 第90条〔選手の肖像等の使用〕(B3リーグ規約 第83条〔選手の肖像等の使用〕)において、以下のように定められていることから、試合中やイベントなどでの写真・動画撮影がOKになると考えられます。
(1) 選手は、選手契約の期間中であるか否かを問わず、第80条(B3リーグでは、第74条)の義務履行に関する選手の肖像、映像、氏名、似顔絵、アニメ、音声、署名、背番号および略歴等(以下本条において「選手の肖像等」という)が報道、放送されることおよび当該報道、放送に関する選手の肖像等につき何ら権利を有するものでない。
一方、選手のプライベートでの撮影は、「義務履行に関する」に該当せず、肖像権違反になる可能性があります。そのため、コート外で選手を見かけたとしても、無断で撮影することは控えましょう。
パブリシティ権について
バスケの選手は、その肖像や名前に顧客を呼び寄せる経済的効果をもっており、財産的観点が強く認識されます。パブリシティ権は、著名人の肖像や氏名等の識別情報が経済的価値を持つ場合に、財産的な面から保護するための権利です。広義の肖像権には、パブリシティ権も含まれるといわれます。
肖像権は、容ぼうや姿態の肖像を保護する権利ですが、パブリシティ権は、肖像だけでなく、氏名やサイン、声、ニックネーム等も保護範囲に含みうる権利です。パブリシティ件についても、上記Bリーグ規約 第90条〔選手の肖像等の使用〕(B3リーグ規約 第83条〔選手の肖像等の使用〕)が適用されることになると考えられます。
なので、例えば、「TUBC れんれん 推薦の○○○」なんていう広告を勝手に出した場合には、川島選手の知名度を勝手に利用して販売を促進しようとする意図が見えることから、パブリシティ権違反と指摘されてしまうかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか。
最後の方は難しい内容になってしまいましたが、要するに
撮影のルールを守る!
他人が撮影した画像や動画などのコンテンツを、自分のモノのように勝手に使わない!
ということを守れば問題ありません。
また、自信が撮影された素晴らしい画像や動画は、見たいブースターの方もたくさんいらっしゃると思うので、そのようなコンテンツはどんどん公開しちゃってください(笑)
コメント